ボクは、誰かに縫い物を教えるときに、なるべく最初に話すことが、「『針に糸を通す』、というのは、本当は逆の方か良いことを知っていますか?」ということです。
慣れもあるでしょうけど、利き手に針を持ち、逆の手に糸を持って、針を動かした方か上手くいくはずです。
理由は、糸を動かすと先端がぶれるけど、針を動かしても先端はぶれないから、と、手前に針があると針穴が見えるから。
これ、「作業効率」のため、というより、「当たり前だと言われていることでも、一度は疑ってみるべきだ」ということを伝えたくて話しています。
針に糸を通す?
糸に針を通す?
糸の端を玉結びして縫ったのに、その端から、縫い目が解けてきたことはありませんか?
場所によって力のかかり方は違うし、生地や糸の性質にもよりますが、このような縫い方だと、玉結びのところから縫い目が解けてくることがあります。(写真1)
このような場合、玉結びをどんどん大きくすれば解けなくなりますが、それは間違いです。
それは、「玉結びが小さすぎる」ことではなく、「力のかかる場所に玉結びがある」ことが問題だからです。
では、どうすればいいかというと、力のかからない場所に玉結びがあるようにすればいい、ということです。(写真2)
また、写真3のように、糸を貫通する(糸が2本取りなら、糸と糸の間を通す)ようにすれば、玉結びの大きさは全く関係なくなるので小さくても大丈夫で、よけいな分厚い箇所が無くなります。
うまくいかなかい時は、その原因を正確に理解する必要があります。
いくら一生懸命に縫おうが、心を込めて縫おうが、原因の理解が間違っていれば、また「うまくいかない」、という結果になります。
これらのことと、ボクが洋服をつくる時の考え方は、とても似ていると思います。
昔からやってきた、という理由だけで、無条件に踏襲するのは好きではなく、そのことは、細かなディテールにも及びます。
短期的には、かえって効率が悪いかもしれない。けれども、そういう地道なことを繰り返すことが、長い目で見て、とても大切なことだと考えます。