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ちょっと(かなり?)マニアックな服飾技術の話 (洋服つくりの技術を紹介してます) 23

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仕立て方による安全性の違いの話

服が物理的にダメになる理由は、生地が破れたり、他にも理由が考えられますが、その中のひとつに、生地が織られている糸がほつれてくる、というものがあります。(写真下)

仕立て方による安全性の違いの話01


最初から安全性の高い生地もあれば、危険な生地もありますが、普通に縫うだけなら何も問題ありません。(写真下)

仕立て方による安全性の違いの話02


でも、洗濯を繰り返したり、そこに力がかかったりすると、縫い目から壊れることがあります。(写真下)

仕立て方による安全性の違いの話03


これを完全に防ぐ方法はありませんが、縫い方によってリスクを減らすことはでき、その一つとして、縫い代を折り曲げる、という考え方があります。
下の写真の状態だと、右上の部分以外は縫い代が折り曲げられているので、こういう作り方をすると、右上が最も弱く、他の箇所は、糸がほつれることで、服がダメになる可能性は、ほとんどありません。

仕立て方による安全性の違いの話04


その他に、ミシンを1本かけておくと、その先がほつれてくることはないので、ミシンを2本かけると安定する、ということもありますが、縫い代を折り曲げることなく真っすぐな状態だったり、その2本のミシンの間隔が狭かったりすると、危険性が増します。

下の写真のような、生地の裁ち端をそのままにしている洋服は、なんとなく壊れそうな感じがするかもしれませんが、これが原因で、物理的にダメになるかは対策次第で、着ているうちに、織り糸がさらにほつれてくると思いますが、そのことが原因で、物理的にダメになることはないと思います。
あえてリスクのある箇所を挙げるなら、赤い矢印の所で、そこは縫い代が真っすぐなので、強く引っ張ると壊れる可能性があります。

仕立て方による安全性の違いの話05

※ここをクリックすると、写真の作品ページに移動します。

世の中に出回っている洋服には、一見すると危険そうに見えるけど、実際は特に問題のない服もありますが(生地にも糸にも、無限の強度はないので、必ず壊れる危険はあります)、本当に構造的に危険な服もあります。