それは、1枚では「生地の幅が足りない」「生地のロスが多い(効率が悪い)」「望んだシルエットにすることができない」などが理由としてあげられ、ほかにも、切り替え線を利用したデザインにしたいから、などの理由で、生地を分割することもあります。
1.この型紙の分割に根拠はあるの?
図1Aのような、まっすぐなシルエットなら、少なくとも身頃は、1枚の部品で構成することはできますが、実際には図2のように、赤い線で切り替えて2面構成にしているものが大半です。
2.2面構成に根拠はあるの?
一方で、図1Bのようにカーブしたシルエットでは、望んだシルエットにするために、必ず複数の部品に分割する必要があり、一般的には、3面構成(図3)か、4面構成(図4)に分割します。
ちなみに、3面構成、4面構成の右側のダーツは、デザインによってはなかったり、他の方向についていたりすることもありますが、ここでは触れません。
3.3面構成に根拠はあるの?
4.4面構成に根拠はあるの?
それぞれの構成は、結果的にできあがるシルエットに影響しますが、シルエットは、切り替えの位置や構成より、「それぞれがどういうカーブか」によるところが大きいので、構成のしかただけでシルエットが決まるかというと、そういうわけではありません。
「好みの問題です」と言われればその通りなのですが、縫い目の多いほうが、望んだシルエットにしやすいけど、余分に手間がかかるし、洋服が硬くなる傾向にあるし、切り替え線は見えるので、それが望んだデザインであるかどうかはわかりません。
ほかには、脇に縫い目のある4面構成のほうが、リフォームが容易、ということは言えます。
これらのことを総合的に考えて、構造を決めることになりますが、既存の洋服で、なにが採用されているかの、一般的な傾向はあります。 メンズジャケットは、ほぼ全てが3面構成で、重衣料では、コートを含めても、正当的なメンズで、2面構成はありますが、図4の分割のものは滅多にありません。
スリムなシャツは、前後のダーツによって4面構成のような構造になっているものもありますが、3面構成はない。
というより通常、シャツの場合は3面構成の構成はなく、4面構成というより「2面構成にダーツを加えた」、と言ったほうが正確です。
ウィメンズでは、ジャケットは3面構成と4面構成は両方あり、どちらかというと3面構成が主流、ワンピースやコートは、両方あるけど、3面構成は少なく、多くの場合は4面構成のように分割しています。
ブラウスは、切り替えや、メンスシャツと同じく、前後のダーツによって4面構成のような構造になっているものもありますが、3面構成はほぼない。
メンズとウィメンズを比べると、ウィメンズのほうが、強いカーブのシルエットがある可能性が高いことの結果が、上記の傾向になっていると思われますが、これらは、何が正しいのか、何が相応しいのか、というより、「慣習」によるところも多く、技術的な根拠があるとは限りません。
例えば、メンズジャケットを4面構成にしても技術的には問題がありませんが、なんとなく「メンズジャケットっぽくない」という印象があり、つくる人も3面構成に慣れているので、あえて他の選択をしない、というのが今の状況です。
ウィメンズでも、3面構成のほうが「メンズっぽい」、4面構成のほうが「ウィメンズっぽい」という印象を、デザインに落とし込んでいるように思います。
「この型紙の分割に根拠はあるの?」という問いに「慣習」や「印象」が含まれるなら、「かなりある」といえますが、純粋に技術的なことだけの問いならが「あまりない」といえます。
技術的なことなら、時代による変化は「あまりない」。
材料や製造方法が決定的に変わらないかぎり、変わらないことかもしれません。
でも、「慣習」や「印象」なら、ある時にすっかり変わってしまう可能性は、「かなりある」。
「慣習」や「印象」なんてどうでもよい、とは思いませんが、「根拠」の背景を分けておく必要はあります。
自分の目の前で変わらなかったとしても、「永遠」ではないのですから。