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ちょっと(かなり?)マニアックな服飾技術の話 (洋服つくりの技術を紹介してます) 5

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ダブルフェイス(リバーシブル)仕立ての可能性

写真はダブルフェイス(リバーシブル)生地で、2枚の生地が間にある糸で接合されています。
この生地をそのまま縫っても構わないのですが、ダブルフェイス(リバーシブル)仕立てという縫い方は、縫い合わせる片方、または両方の生地の縫う箇所を一度はがしてから、ミシン(または手縫い)をかけて、その後まつり縫い(またはミシン)を行う、という方法です。
この方法の特殊性によって、制約が多く、世の中に出回っている服も、わりと単純な直線で構成されたものが多いです。

この縫い方は、それ自体が手間なのですが、生地の周囲(写真左奥)を縫い合わせるのは、それほどの難易度ではありません。
それよりずっと難易度が高いのは、生地の内側(写真右手前)の縫い合わせるときで、なので玉縁ポケットやボタンホール、箱ポケットは大変で、個人的には、玉縁ボタンホール(写真2.3)は見たことがあるけど、玉縁ポケット(写真4)と、箱ポケット(写真5)は、他では見たことがありませんでした。
もっとも、行程自体は特殊なものではないので、ボクは作ったこれらのポケットが、「世界初」なんてことはないでしょうけど。

最近、こういう工程をいろいろと試しているのですが、これは、やったことのない技術を試してみたい、という気持ちが大きいです。

服における進化(定義上の「進化」は、単に環境の変化に適応することですが、ここでの「進化」は、ポケモンの進化のように、高度化することを指しています)はあるか?、あるいは何か? を考えるときに、先人に胸を張って「今の自分たちの作っている服の方が進化している」と言える分野って、下着屋と、スポーツウェアや、それから派生した機能性を追求した分野くらいだと思っています。
それに対して、ウールのジャケットような定番の洋服に「進化」はありえるの? ということは、気になっているテーマで、見ても分からないような細かい技術を含めて、いろいろと試しているんです。

これらのダブルフェイス仕立てはその一環で、こういう技術が一般化するとは思っていないけど、自分で見とどけたい、と考えていて、その延長線で何か「進化」にあたる何かをおこせるかも、と。