縫ったあとの縫い代について考えるときには、「折りたたむ」「切り込みを入れる」「切り落とす(少なくする)」という選択肢があり、後者になるほど、薄く仕上げられますが、一方で、仕上がったあとで洋服が壊れる可能性が高くなるので、安易に選ばないほうがよいです。
また、かならずしも薄く仕上げることが良いとは限らず、「重厚感を出すため」「厚みのメリハリをつけるため」などの理由で、わざと厚くさせることもあります。
たとえば、前端や襟端などの縫い代は、切り落とし、縫い代幅を狭くする仕様になっていることが多く(写真2)、これは、「端の部分を、なるべく他と均等な厚さにする」という意図だと思われますが、「そもそも、端の部分が分厚くなるとダメなの?」という問いがあり、一般的な傾向がどうであれ、好みの問題といえます。
1.「折りたたむ」「切り落とす」
2.「残す」「切り落とす」
これらのことと、「縫い方の分かりやすさ」を含めた、つくる手間とのバランスを考えながら、仕様を決める必要があります。
手間をかけることでより仕上がりがよくなるのなら、できるだけ採用すべきですが、一方で合理的であることも大切です。
3.要注意な仕様
4.要注意な仕様
ほかには、縫い代に切り込みを入れたり、切り落としたりすると、そこが弱くなるので、その弱い箇所と、力のかかる箇所を一致させないことも大切です。
前端や襟端などは、力がかかることはないので、少ない縫い代にしても、服が壊れることはありませんが、力がかかり、かつ弱い箇所は要注意で、例として、「ベンツの裏地」があります。矢印の部分は力がかかり、かつ弱いので、時間がたつと破れるケースをよく見かけますが、写真5のベンツの仕様は、力のかかる箇所を移動させるひと手間をかけているので、裏地が破れにくくなっています。
5.ベンツの裏地
材料の特性や、ミシンなどの生産機器の性質、世の中に求められることなどが変わることがあるからです。
そういうときには、「『仕様』だから『しょうがない』」とせずに、再検討してみるべきでしょう。