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ちょっと(かなり?)マニアックな服飾技術の話 (洋服つくりの技術を紹介してます) 3

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裏側も完結させる

表から一見すると同じデザインでも、裏側をどのように作るかによって、かかる手間はずいぶんと違ってきます。
でも、なんでも手間をかければ良いかというと、そんなことはありません。
簡単なことは簡単に済ませた方が良いことも沢山あります。
手仕事が必要なところは手を使って作りますが、あまり手仕事が目立ちすぎるのも良いことではないように思います。

大切なことは完結させることで、細部にわたって 「何故こうしたか?」 ということを日々自問し続けてています。
このようなことが、服の姿を一変させるわけではありませんが、細かな所のこだわりの積み重ねることが、結果として全体的に良い雰囲気をかもし出すように思っています。

【写真1−1】 見返しの裾の部分です。この方法が、最も裏表双方がきれいに仕上がると思いますが、薄い生地だと他の方法にするかもしれません。

【写真1−2】 比翼仕立ての裏側(表からボタンを見えないようにする技術)です。比翼仕立てはどうしても境目が表から判ってしまいがちですが、この方法ならキレイです。
これも、薄い生地などには採用できない可能性がありますが、その場合は、他の技法にするか、デザインを変えるか、全体を見て最良の方法を選択しています。



【写真2−1】 ジャケットの袖付けを裏側から見たところで、「袋縫い」という技術を使っています。
袖付けに袋縫いを行うこと自体、難しいことなのですが、山村ドレス工房では、通常、この袋縫いの幅を約4mmと、限界まで細く仕上げています。
4mmにしているのは、5mmの幅のものと比べて美しいこと、それ以上は細くできないことが理由です。
ただ、縫い目が硬くなることなど、袋縫いにすることの欠点もあるので、必ずこの方法を用いるわけではありません。

【写真2−2】 両方とも、ブラウスのスリットの部分ですが、用いた技術が違います。
これも、裏側から見た美しさと、表から見た弊害とのバランスを考えて、それぞれの方法を選択しました。