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ちょっと(かなり?)マニアックな服飾技術の話 (洋服つくりの技術を紹介してます) 51

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洋服は、いかに完成したときにベストなものにさせることが大切ですが、一方で、何年も経った後のことも考えておく必要もあります。

具体的には、できるだけサイズの変更に耐える状態にしておくこと、部品の交換が容易にできることが、「何年も経った後のこと」に当たり、それらを「保険をかけておく」と言っています。
これらは、使用する素材や、デザインとの兼ね合いで、無限に追求するわけにもいかず、バランスの話にはなりますが、常に最適なバランスを求めています。

このカシミヤの総裏仕立てのパンツは、ウェストが前中心の部分を除いてゴムで伸縮するようになっていますが、2つの手縫い箇所と1つのミシンを解くことで取り外せるようになっており、ゴムの付け替えや、長さの調節が容易にできる構造になっています。

また、脇の縫い目での寸法の出し入れがしやすい構造で、この工夫は、多くの他の服にも用いられています。