山村ドレススタジオ > ちょっと(かなり?)マニアックな服飾技術の話 > 「接着芯」って、どうやってくっつくの?

ちょっと(かなり?)マニアックな服飾技術の話 (洋服つくりの技術を紹介してます) 38

前の投稿一覧ページに戻る次の投稿
専用の機械だと適切な温度、圧力、時間に設定できるので問題はないし、どうやっても接着しづらい生地はありますが、アイロンで接着すると、後になって、接着芯がはがれてくることがあります。
「『接着芯』って、どうやってくっつけるの?」、と聞かれると、「布の上に接着芯をセットして、アイロンをかける」と、答えるのが正しいのですけど、こうやって考えることが、後で接着芯がはがれてくる原因なんじゃないか、と思います。
接着芯って、接着面に糊がくっついていて、その糊をアイロンの熱で一度溶かして、接着する生地と一緒に再び固形化することで接着することができるのですが、ここでよく忘れがちなのが、「熱を与える時間」なんだと思います。
フライパンに乗せたバターでも、鍋に入れたチョコレートでも、火をかけてすぐに液体になるわけではなく、個体が液化するには、一定の時間が必要なのと同じことなんですけど、接着芯の場合は、アイロンをさっとかけると、とりあえずくっついてくれるので、このことを忘れがちなんだと思います。

あと、どうしても、早めにアイロンを動かしてしまう心理として、「生地がこげたり溶けたりすることが恐い」、ということもあるんでしょうけど、これは、アイロンをかける時間が長すぎることよりも、温度が高すぎるケースが多いように思います。

余談ですげ、アイロンをかける時に、「接着するときは、上に紙をあてましょう」と、教わったことがありました。
「接着芯の糊が表にでてきて、アイロンを汚すから」というのが、その理由で、昔の接着芯は、糊がボロボロを落ちてくるものもありましたが、今の接着芯では、そのようなことが起きないを思うので、まず必要がないと思います。
今の接着芯はポリエステル系のものが多く、そのリスクは、溶けることだと思うので、まず、温度を無闇に上げないようにするのがよいと思います。