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ちょっと(かなり?)マニアックな服飾技術の話 (洋服つくりの技術を紹介してます) 63

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図1のオーソドックスなデザインのラグランスリーブの型紙の身頃の幅を、大幅に小さくすることを考えてみてください。
少しだけなら、脇の線を修正して終わりにできますが、一定以上大幅な修正では、そうはいきません。


袖の幅を維持するなら、図2のように修正することになりますが、ここで大切なのが「横からの視点」です。
図3のように、前後の身頃をつなげたときの、袖下の「Uの字」の部分に一定の幅が必要になり、このことによって、立体的な厚みが維持されます。


あと、図4のように、身頃と袖の線が交差するポイントがどこかを考える時には「上からの視点」が必要で、図5のように、上から見た時に「前面」から「側面」に変わる場所が、その交差するポイントになります。
「前面」にあたる箇所を交差するポイントにしてしまうと、縦方向の距離が無駄に増え、裾が下がります。
一方で、「側面」にあたる箇所を交差するポイントにしてしまうと、その部分が引っ張られるようになり、不自然なシルエットになります。


洋服の型紙の構造を、前身頃、後ろ身頃と分断することは便利ですけど、その考え方だけでは、出来た型紙のコピーならできるけど、新たな形を生み出すことは難しいし、修正すらうまく出来なくなります。

人間の身体は、前身頃、後ろ身頃と分かれているわけではありません。
例えば、袖の形を考えるなら「横からの視点」、襟の形を考えるなら「上からの視点」など、その部品や部分の視点を変えてみることが大切です。

型紙を新たに考えるなら、「人間の身体は立体的にできている」
この素朴なことをいつも意識して、いろんな方向から見て(想像して)みて検討しましょう。

でも、くれぐれも下からは覗かないように。