山村ドレススタジオ > ちょっと(かなり?)マニアックな服飾技術の話 > 袋縫い論 (そんな理論があるかは知りませんが)

ちょっと(かなり?)マニアックな服飾技術の話 (洋服つくりの技術を紹介してます) 21

前の投稿一覧ページに戻る次の投稿
袋縫い論 (そんな理論があるかは知りませんが)

写真1.の左の部分の縫い方を「袋縫い」と呼びます。

※ここをクリックすると、写真の作品ページに移動します。



基本的な縫い方は、外表で一回目のミシンをかけて(写真2)、縫い代をアイロンで割って(写真3)から切りそろえ(写真4)、中表にして2回目のミシンをかけ、出来上がり(写真5)、という手順です。



単に縫うだけなら、特に難しい技術ではありませんが、生地によったり、縫う箇所によったり、それと縫い代の幅によって、一気に難易度があがります。
ボクは、この「袋縫い」の縫い代は、細ければ細いほどキレイだと思っているので、出来るだけ細く仕上げていて、その縫い代の目安は、特殊な生地を除いて、おそらく可能な限界の幅、4mm(写真5)にしていて、仕上がりの縫い代が4mmだとすると、一回目のミシンの時の縫い代(写真4)は、さらに細くする必要があり、縫い代を2mmで切り落しています。
この工程をジャケットの袖付けで行うのは、さらに難しく、その理由に、伸び止めをする必要があること(写真6.7の白いテープ)、縫い代が交差する箇所があること(写真8.9)、「いせこみ」があること、カーブしていること等があげられます。


技術自体は平凡なものなので、ちょっと縫い方を知っている人なら誰でも分かると思いますが、ジャケットの袖付けで、この縫い代の幅で、となると、ボクは他では見たことがありません。
ちなみに、「これほど細く仕上げても大丈夫か?」ということを聞かれることもありますが、今のところこの技術が理由で、服がだめになったことはなく、その理由に、縫い代が2mmの一回目のミシンに力がかかることがまずないこと、折り曲げられた縫い代は、まっすぐな状態の縫い代と比べて安定しているし、袋の中で縫い代が動いたりはしないので、徐々にほつれることがないこと等があげられます。(写真10.参照)