基本的には、同色の糸でステッチをかけると「影を見せる」、異色の糸でステッチをかけると「糸を見せる」、ということを意図することになりますが、異色の糸で「影を見せる」効果のみをねらうことはないと思いますが、同色の糸で「糸を見せる」効果をねらうことはよくあります。
また、異色の糸を使ったからといって、「糸を見せる」効果があるかどうかや、どれくらい効果があるのかは、ケースバイケースです。
1.何もステッチをかけていない状態
写真2は、60番(細目)の糸、細かめの針目でのミシンステッチをかけたものですが、この生地と糸の組み合わせだと異色の糸を使っても、ほとんど糸自体が見えないので、「糸を見せる」効果をねらっても意味がないと思います。
ただ、金糸や銀糸などの光る糸だと、糸が目立ってくるので効果的かもしれません。
2-1.60番(細目)の同色(黒)の糸、細かめの針目でのミシンステッチ
2-2.【2-1】を拡大
2-3.60番(細目)の異色(黄色)の糸、細かめの針目でのミシンステッチ
2-4.【2-3】を拡大
写真3は、20番(太目)の糸、粗めの針目でのミシンステッチをかけたものですが、この生地と糸の組み合わせで異色の糸を使うことによって、「糸を見せる」効果をねらえるように思います。
また、生地によっては、同色の糸でも「糸を見せる」効果があると思います。
一般的には、糸は太ければ太いほど、針目は粗いほど「糸を見せる」効果がありますが、「どこを強調したいか」など、全体のバランスを考えて選択するといいと思います。
また、中途半端に「糸を見せる」効果をねらっても意味がありません。
3-1.20番(太め目)の同色(黒)の糸、粗めの針目でのミシンステッチ
3-2.【3-1】を拡大
3-3.20番(太め目)の異色(黄色)の糸、粗めの針目でのミシンステッチ
3-4.【3-3】を拡大
写真4は、絹の穴糸、バックステッチ(星どめ)でのハンドステッチをかけたものですが、この生地だと、糸を異色にしてもあまり「糸を見せる」効果はありませんが、もう少し均一な色の生地では、異色の糸、あるいは同色の糸でも「糸を見せる」効果を狙えると思います。
4-1.絹の穴糸の同色(黒)の糸、バックステッチ(星どめ)でのハンドステッチ ※赤線のところにステッチをかけています
4-2.【4-1】を拡大 ※赤線のところにステッチをかけています
4-3.絹の穴糸の異色(ベージュ)の糸、バックステッチ(星どめ)でのハンドステッチ
4-4.【4-3】を拡大
4-4.【4-1】【4-3】の断面から見た、糸の運び図
写真5は、綿のレース編み糸、ストレートステッチ(なみ縫い)でのハンドステッチをかけたものですが、この組み合わせでは、糸を異色すると十分に「糸を見せる」効果はあり、同色の糸でも「糸を見せる」効果を狙えると思います。
一般的に、バックステッチ(星どめ)よりも、ストレートステッチ(なみ縫い)のほうが、表面に露出する糸の距離が長くなるため、同じ色の糸を使ったとしても「糸を見せる」効果が大きくなる傾向があります。
また、表面に露出する糸の距離は、縫い方によっても変えられるので、「どれくらい糸を見せたいか」によって、方法を選択するべきだと思います。
5-1.綿のレース編み糸の同色(黒)の糸、ストレートステッチ(なみ縫い)でのハンドステッチ ※赤線のところにステッチをかけています
5-2.【5-1】を拡大 ※赤線のところにステッチをかけています
5-3.綿のレース編み糸の異色(黄色)の糸、ストレートステッチ(なみ縫い)でのハンドステッチ
5-4.【5-3】を拡大
5-4.【5-1】【5-3】の断面から見た、糸の運び図
これらの効果は、生地と糸の関係の他に、ステッチをかける箇所、ステッチの本数や幅などによっても結果が違ってくるので、全体のデザインの意図と関連づけて考えるといいと思います。