山村ドレススタジオ > ちょっと(かなり?)マニアックな服飾技術の話 > 「ふらし仕立て」にするのは、どんな時?

ちょっと(かなり?)マニアックな服飾技術の話 (洋服つくりの技術を紹介してます) 34

前の投稿一覧ページに戻る次の投稿
「ふらし仕立て」にするのは、どんな時?

左は、通常の裏地付きのジャケットなどに用いられる、裏地の始末で、右下の写真のような、裾の裏地の始末の仕方を「ふらし仕立て」と呼ばれています。

裏地、裾しまつ裏地、裾しまつ

「ふらし仕立て」は、コートなどにも用いられることもありますが、自分では、この裏から見た裾の姿を好まないので、ほとんど用いていません。

ただ、「ふらし仕立て」にしないと、ほとんど無理なデザインや、「ふらし仕立て」でないとシルエットが美しくならない、素材や形があり、その時には、「ふらし仕立て」を用いていて、それらは、コートやスカートといった、アイテムとは関係がありませんん。

「ふらし仕立て」でないと、ほとんど無理なデザインとは、裾の部分がプリーツ構造のものなどがあり、デザインによって、裾の始末の仕方を決めているので、ほとんど例外はありません。

それに対して、「ふらし仕立て」でないとシルエットが美しくならない、素材や形、というのは、生地や柔らかい場合や、裾のフレアーが大きい場合などで、写真左の方法だと、比較的、裾が硬くなる傾向があるため、柔らかいシルエットを保つために「ふらし仕立て」を用いることが多く、こちらは、どの場合に「ふらし仕立て」を用いるのか、判断に悩むケースもあります。

右のワンピースドレスは、とても柔らかなサマーウールの生地で、裾が少し広がっているので、「ふらし仕立て」にしましたが、、「ふらし仕立て」でないとできないデザインではなく、仕立て方は最後まで迷っていました。

ジャケットなどは、通常、「ふらし仕立て」にすることはありませんが、デザインや素材やシルエットによっては、、「ふらし仕立て」の方が適したものもあると思われますので、コートはこの仕立て方、ジャケットはあの仕立て方、というように、固定して考えない方がよいと思います。