山村ドレススタジオ > ちょっと(かなり?)マニアックな服飾技術の話 > 手縫い糸は、「一本取り」? 「二本取り」?

ちょっと(かなり?)マニアックな服飾技術の話 (洋服つくりの技術を紹介してます) 37

前の投稿一覧ページに戻る次の投稿
手縫い糸は、「一本取り」? 「二本取り」?

手縫いをするときの、糸の使い方には、「一本取り」と 「二本取り」とがあります。 「一本取り」は、縫い針に糸を通して、その片方だけに結び玉をつくり、縫われるときには、糸が一本になります。
それに対して「二本取り」は、縫い針に糸を通して、その両方をまとめて結び玉をつくり、縫われるときには、糸が二本になります。
縫い針に、糸を二本通して、その片方だけに結び玉をつくり、縫われるときに、糸が二本する「二本取り」もありますが、あまり使われないと思います。

手芸のワークショップなどの場で、「ここを縫うときは、『一本取り』 『二本取り』、どちらにしますか?」、というような質問を受けることもありますが、一概には言えなくて、メリット、デメリットを考えるべきだと思います。
仕上がった時に必要な糸の太さ(本数)と、縫う糸の太さの関係で、「一本取り」か「二本取り」か、決まってくることにもなりますが、メリット、デメリットということでは、結び玉をつくった後に、「糸が縫い針から抜けるかどうか」、があると思います。

縫うときに、失敗なく縫えるならば、「二本取り」のような、糸が縫い針から抜けないことが、「縫っている最中に糸が抜けてしまうかもしれない」、という余計な心配がなく、メリットになりますが、ちょっと縫うときに失敗をして、「一針だけ元に戻したい」といったときに、糸を切らなければならず、もう一度糸を縫い針に通すときには糸が二本になり、糸の長さが足らなくなったり、場合によっては針の穴に入らなかったりもします。
なので、手縫いの習熟度によって変わってくるのではないか、と思います。
「ちょっとした失敗は気にしない」、という段階の子どもや、初心者は、「二本取り」、「だんだん仕上がりは気になってきたけど、わりと失敗をする」、という段階の人には、「一本取り」、より慣れた人は、「二本取り」といったところでしょうか。

ちなみに、洋服を作るときにも、それらを使い分けていて、「より、しっかり留めたいときには、『二本取り』」、といった感じにしますが、すべての箇所に根拠があるかというと、だいたいは根拠はあるけど、なんとなく慣習で決めている箇所もあるんじゃないか、と思います。