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「仕様」だから「しようがない」ではいけない

服作りにおいて、「仕様」は単なる決まりごとではなく、長期的には服作り自体に影響を及ぼす重要な要素です。特に生地やミシンなどの技術的制約によって、時代ごとに合理的な仕様が定着しやすくなります。そして、その「合理的な仕様」はしばしば「美しい構造」とも言えます。

「美しい構造」とは何かを明確に定義するのは難しいですが、たとえばルービックキューブの熟練者が、スムーズに揃えていく様子に似ています。揃えかたを知らない人にとっては、デタラメに動かしているように見えても、実際には緻密な理論があって、「気がつくつと、ピタッと組み上がり、二度と崩れない」仕組みがあります。


で、ボクの考える「美しい構造」とは、たとえば以下のようなものです。

• できあがると単純に見えるけど、制作過程では工夫が必要
• 一度工程を理解すれば再現が容易
• 無理な力がかからず、手作業で無理矢理まとめる、ようなことがない
• 極端な厚みのアンバランスがない(デザインによるけど)
• 組み立ての工程にリズム感がある

これは数学の公式の美しさにも通じるものがあります。


ジーンズやメンズジャケットのように、比較的に作り方が確立している分野では、すでに「美しい構造」が備わっているため、改めて考える必要は少ないでしょう。でも、素材やデザイン、道具、求められる機能が変わると、新たな「美しい構造」を生み出すことが必要になります。

「仕様」だから「しようがない」ではいけない。「合理的な仕様」は、毎年コロコロ変わるわけではありませんが、普遍でもありません。すでに確立された仕様を、「しようがない」と縛られるのではなく、また、デザインによっては、手作業で無理矢理まとめるようなことをしたほうが、簡単で、仕事が早いことも起こり得ますが、常により良い「仕様」はあるかを考え続け、必要なときには変えていく姿勢が大切です。

※過去に投稿した「「美しい「構造」について、いつも考えています」を、内容を修正し、投稿しました。

2025年3月13日