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美しい「構造」について、いつも考えています

「美しい構造」という以前に、何が「美しい」かを定義すること自体、「難しい」というか、究極的には「無理かも」とは思いますが、やっぱり考えずにはいられなくて、洋服が組み立てられるときの「構造」の美しさについても、つい考えてしまいます。

「美しい構造」について、何が客観的に承認されうる定義かはさておき、個人的なイメージとして浮かぶのが、「上手な人が、ルービックキューブを揃えている映像」です。
これ、ルービックキューブの揃え方を理解していない人にとっては、「テキトウに回転をさせ続けていて、気がつくと、どこかの時点で一気に揃っていく」感じがしませんか?
それに似ていると思っています。
「『ピタッと』組みあがり、二度と離れない」感じ。

と、なんだか抽象的ですが、具体的にボクが考える、「美しい構造」の要件って、
・実際に出来てしまうと、制作時の難易度に関わらず、単純な構造に見えてしまう。
・その構造を見つけ出すことが難しくても、工程を覚えてしまえば、後で再現することは比較的容易。
・どこかに無理な力がかかっていない。(「最後に無理やり、手作業でまとめてしまう」なんていうのは、ダメ)
・厚さの極端なアンバランスがない(少ない)。
・組み立てる工程にリズム感がある。
あたりで、これまた抽象的、というか意味不明かもしれませんが、「数学の公式の美しさ」に似ているかもしれなくて、ここでは「美しい」≒「合理的」という側面はあると思います。

ジーパンや、メンズジャケットのような、作り方が確立している分野では、既に「美しい構造」でできているので、あえて「美しい構造」について考える必要性はあまりないと思いますが、素材や形(デザイン)、ミシンなどの道具類、服として求められる機能などが変わると、それに対応した「美しい構造」も改めて考える必要があります。

で最近、作った洋服では、この部分の「構造が美しい」と自画自賛したのですが、どうやって言葉にすればよいのか、自分でもよくわかっていないのですげど、「美しい構造で組み合わされた洋服は美しい」、と思っています。