生地に対してボクが求めているのは「目新しさ」や「珍しさ」ではなく、色も黒・グレー・紺があれば、とりあえずは十分。そうなると、どこでも簡単に手に入ると思われそうですが、実際にはそうでもありません。
通販を利用する動機は人それぞれだと思います。
「安く買いたい」「重い荷物を運びたくない」「時間がない」など、よくある理由はいくつも思い浮かびます。でも、ボクの場合は、そのどれにも当てはまりません。最大の理由は、「当たり前の品質」の生地を手に入れたいからです。
言い換えると、日常的に通える範囲にあるお店には、その「『当たり前の品質』がない」、わけでもないでしょうけど、出会うことがとても難しい、ということでもあります。
「当たり前の品質」がほしい
この「当たり前の品質」というのは、パッと見では分かりにくく、いっぽうで実現するには多くの手間や技術が必要なため、コストの削減を求められると、真っ先に削られてしまいそうな項目です。
生地屋さんも、生地そのものの魅力や個性をアピールすることはあっても、「当たり前の品質」を優先するとは限りません。けれど、それ自体が魅力的に見える生地が、良い服に仕上がるとも限りません。服のデザインによりけりですが、生地の存在が主張しすぎてしまうこともあるからです。
なのでボクは、「生地そのものの魅力や個性」よりも、「当たり前の品質」がほしい。
そのための重要な判断基準にしていることが、「その生地が作られる過程について、納得度の高い説明があること」です。
「見て触れれば良さは分かるだろう」という職人気質な人もいるでしょうけど、それではネット通販では出会えないので、「ほかに、よりよい判断基準があるかも」と思いつつ、少なくとも入り口の段階では、言葉での説明を重視しています。
もっとも、ネット通販にその「当たり前の品質」があるとは限りません。むしろ、実物に触れることがないので、分からないことが多く、リスクがあります。それでも、「当たり前の品質」がほしい。
それは、出来上がった服をよりよくするために、どうしても欠かせない要素だと思うからです。
2025年8月07日