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「手段」と「目的」、そして「順番を意識しよう」という話

最近、3Dプリンターを手に入れてから、ボタンのデザインをいろいろと試しています。ただ、最初から「ボタンをデザインする」という明確な目的があったわけではありません。「何か面白いことができるかも」という漠然とした動機で購入しましたが、具体的な使い道があったわけではないので、決断をするのにけっこう時間がかかりました。



手に入れた当初は、アプリケーションの操作も分からず、シンプルなものから試作ましたが、次第に「3Dプリンターならではのデザイン」を試したくなり、複雑な形になりつつあります。最新作は「凹凸をつけ、それをねじるデザイン」です。このデザインは必ずしも3Dプリンターでなければ作れないものではありませんが、従来の方法では手間がかかりそうです。



この例では、まず「3Dプリンター」という手段が先にあり、後から「ボタンのデザインをしてみよう」という目的が生まれました。先に明確な目的あり、それを実現させるための手段を選んだわけではありません。実際、CADアプリケーションを使いながら、「こういうこともできるんだ」と気づいていくなかで、成り行きでデザインを考えることも多いです。ここでも、手段が先、目的が後という順番です。
このような順番は、人や状況によって異なります。ボクの場合、「こういう道具があるから、それを活かして面白い使い道を考えよう」というアプローチが多く、これは「理想を追い求めすぎない」という自分のものの考え方の傾向によるのかもしれません。

たとえば、服作りでは「生地が先か、デザインが先か」という順番の違いがあります。自分で生地を作る人は別として、多くの場合、気に入った生地を活かそうと形を考える人と、先にデザインを決めてからそれに合う生地を探す人に分かれます。ボクの場合は「生地が先」であることが多く、これも3Dプリンターの話と順番が同じです。

また、これは結果としてのデザインの傾向が違ってきます。
デザインの組み立てを、「細部から考え、その細部の組み合わせとして全体を考える」ことと、「まず全体的なことを考え、後で細部を考える」こととに分けてみると、前者が「手段」、後者が「目的」である、とも言えそうです。

これらの順番に優劣はなく、状況や個々の役割によって使い分ける必要があります。ただ、自分の傾向を自覚することは大切です。制約がないなら、自分にとって不得意な順番を選ぶ必要はなく、自然で楽な順番で進めたほうが良いからです。でも自覚がなければ、その選択ができません。

さて、この3Dプリンター、ボタン作りだけではもったいないので、他のデザインにも発展させていきたいし、ノウハウ自体も蓄積していきたいと思います。
ここでもまた、「手段」が先で、「目的」が後という、自分にとって自然で楽な順番で進めていくことになりそうです。