それは、大量生産の洋服に対して、コスパで勝ちようがないからです。 一方で、昔からの仕立て方を踏襲するつもりはなく、同じ見た目になるなら、より簡単な方法を選ぶことにしていて、機械(ミシン)でできる(縫える)デザインを、あえて手仕事で行って、「手仕事」であることを売りにする気もありません。
また、奇抜なデザインで、大量生産と戦うという戦略はありますが、自分に求められているとは思わないし、あまり興味がありません。
では、どうしているかというと、「大量生産に不向きなデザイン」「技術的に難しいデザイン」をしています。
写真のジャケットのポケット、いっけん、特に珍しくもない「貼り付けポケット」ですが、世の中で、ほとんど見かけることがありません。 「そんなことはどうでもよい」「こんなデザインは、好まれない」という考えに反論する気はありませんが、このポケットは、大量生産にはとても不向きなデザインだからです。
1、手仕事でないと不可能なデザイン
写真2のような、表からステッチ(白い線)が見えるデザインや、写真3のような、下の角の丸いデザインは、ミシンで縫うことができますが(※)、角になっていて、かつステッチが見えないデザインは、手仕事が必要になります。(※)ボクのところでは、キレイに縫えないので、ミシンを使っていません。
2、表からステッチ(白い線)が見えるデザイン
3、下の角の丸いデザイン
すべての箇所がそういうわけではなく、また、気づく人は、ごく一部でしょうけど、探すことをやめてしまうと、大量生産や、過去の服作りの世界に埋没してしまうので、「大量生産に不向きなデザイン」「技術的に難しいデザイン」を、いつも探しています。
ところで、この「弱者戦略」は、AI時代の働き方に通ずるところがあって、答えを出すスピードや量では、AIとは戦えなくて、AIにはできないことを探すしかない。
このことを悲観的に捉える人もいますが、自分ではあまり気にならないのは、「弱者戦略」に慣らされてしまったからかもしれません。