何度も修正したのは、特殊な構造のために起こったことではありますが、いつもこんな感じです。
型紙の形を決める手順は、「まず、それぞれの箇所の幅(長さ)を決め、それら複数の距離どおしに矛盾が起きないよう『つじつま合わせ』をする」、というのが通常です。
例えば、「身頃の幅、袖の幅をそれぞれに決め、その後に、身頃、袖の袖付け線でつじつま合わせをする」ということですが、その「つじつま合わせ」がスムーズにできるケースと、そうではないケースがあります。
それぞれの幅(長さ)を決めることは、どんな洋服の型紙つくりでも同じように難しいけど、つじつま合わせの難しさは、デザインや構造によって大幅に異なります。
ちなみに、洋服の作図技法によくある、「袖ぐりを含めた身頃をつくり、その袖ぐりに合わせて袖をつくる」という手順は、上記の「つじつま合わせ」の必要はありませんが、望んだ形になるかは分かりません。
「お前が勝手に難易度の高いデザインを選んだから悪いんだ」という事実はあります。
つじつま合わせがどれくらい難しいかは、おおむね事前に予測はでき、一般に普及しているデザインなら、ここまで面倒なことにはなりません。
テーラージャケットやジーパンなどの広く普及している洋服には、多くにユーザーにそのデザインが受け入れられることとともに、多くの作り手にとっての「つくりやすさ」も必要で、特定の人にしか持てない特殊な技術や機械を要求しない構造になっています。
ここで、冒頭のタイトルの「目標はモーツァルト」についてですが、「モーツァルト直筆の楽譜には、かき直しをした形跡がない」という話があります。
「全ての音のイメージが、頭の中で完璧にでき上がっていて、あとは出力するだけ」ということでしょうけど、かき直しだらけの型紙しか描けないボクにとっては、「なんて格好いいんだ」と、あこがれます。 型紙を何度かき直したとしても、洋服になったら同じですが、やっぱり、かき直すのは面倒なのでやりたくない。
とはいえ、できないことは仕方がなく、その中で格闘するしかないと思ってはいますが、実現できたら嬉しくて、「イメージが、事前に頭の中で完璧に出来上がっている状態」を体験してみたいです。
ところで、「頭の中でイメージをつくり上げる」にしても、「紙の上でイメージと格闘する」にしても、「イメージをつくり上げる」こと自体は、人間が行うことになりますが、ここを省略してしまうかもしれない「AI」の未来が気になります。
作業が楽になること自体は良いことだと思うけど、イメージする力を鍛える機会を逃してしまわないか、と。