「型紙(作図)」における、「キレイ」な線とは、どのような線だろうか?
そもそも型紙の線は、生地に意図した位置に裁断したり、印を付けたりするためのもので、型紙がキレイであることは望ましいことかもしれないが、型紙自体の美観は、「目的」ではく「手段」であり、この目的と手段の関係を、はっきりと認識しておくべきだと思う。
まず、【1】のような型紙をつくることを想像してもらいたい。
-
【1】
【2】の左は、全体的にギザギザな線で、つながりがキレイではないが、概ね正確に線が書かかれている。それに対して右は、線のつながりはキレイに書けているが、元の線とはズレてしまっている。
※黒い線を目的の線、赤い線を実際に書いた線とし、型紙には赤い線のみが書かれているものとする。
【2】
では、この両者では、どちらが「キレイな型紙の線」だろうか?
目的とする黒い線との差にもよるが、型紙を一枚の「絵」として見ると、右の方がキレイだと思うし、これが完成した服だとしたら、右の方がキレイな服であるかもしれないが、どちらが「キレイな型紙の線」かと問われれば、左の線だと思う。
それは、左の線なら、ギザギザした部分をならせば、目的の黒い線に到達できる可能性があるし、そのまま裁断しても、正確にキレイな服に仕上がる可能性が高いが、右の線からは元の線の状態には到達できないからだ。
このように、「キレイな型紙の線」は、「キレイな線」とは違うこともある。目的は、あくまで「キレイな服」をつくることだということを忘れてはならない。
私が考える、「キレイな型紙の線」とは、「一本の縫い目」が「一本の線」になっている、ということだ。
では、「一本の線」とは、どのような線なのだろうか?
【3】は、ラグランスリーブの型紙を、簡略して書いたものだ。
作図に慣れていないと、【4】の赤い線ように、外カーブと内カーブとに二分され、それらの境目が「角」になることがある。こういうデザインもあると思うが、これでは、「一本の線」ではなく、「二本の線」だ。
したがって、【5】の赤い線のように、スムーズにつなげる必要があるのだが、では、この服の袖ぐりにおける「一本の線」とは、どこからどこまでだろうか?【5】の赤い線だろうか?
【3】ラグランスリーブの型紙を、簡略して書いたもの
【4】これでは、「一本の線」ではなく、「二本の線」だ
【5】赤い線のように、スムーズにつなげる必要があるのだが
【6】「一本の線」とは、の前後の袖ぐり全体を指す
この服の袖ぐりにおける「一本の線」とは、【6】の前後の袖ぐり全体を指す。「一本の縫い目」が「一本の線」、したがって、一つの部品だけでなく、袖ぐり全体を想像しながら、「一本の線」を書いてゆくことが大切だ。
このように、線を書くときには、細部に注目する必要はあるが、全体がどのような構造になっているのかも、同時に考えてゆく必要がある。