山村ドレススタジオ　＞　リメイク　＞　022



この、麻のピンクのワイドパンツスは、スカートからのリメイクです。

数年前に購入されたスカートを、パンツとして履きたいとのご依頼でした（元のスカートの写真はありません）。

スカートは、たっぷりとした分量の一方向タック仕立てで、天然染料による染色と思われますが、経年による色落ちがありました。

当初は、生地の裏面を使う、という案もありましたが、解いて縫い直すと縫い代の分だけ面積が減ってしまう箇所があるため、色落ちも味わいとして残すことにしました。


ただ、一方向のタック構造のために、ウエストからヒップにかけて色落ちがムラ状になっていて、そのままパンツに仕立て直すとデザイン性が損なわれます。

元と同じタックを再現すればムラは目立ちませんが、今回は物理的に同じ分量を取ることができませんでした。

そこで、タックの分量を少しずつ減らしながら、ムラが目立たない配置に調整し、全体の寸法をバランスよく整えました。

服作りで、完璧な理想を実現することは実際には不可能です。特にリメイクでは、型紙通りに仕立てられず、即興で変更する必要に迫られるもよくあり、さらに制約が増えますが、それでも、工夫の余地は常にあります。

最も大切なのは、全体のバランスを見極めることです。