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ヴィンテージ物を含む、紳士服のスーツ用に作られた生地を使ってみようと思い立ったのは、「価値のある生地が世の中に残っているから」でした。
機能性を求めるような生地は、たいていは新しい方が優れていると思いますが、天然素材に関しては、今の生地にはない魅力があり、「新しいものほど優れている」というわけでもありません。

「使いやすい生地ばかりではなく、かえって手間もかかるけど、素材としてのクオリティは高いので、うまく工夫すれば、新しい生地ではできないような、おもしろい服になるんじゃないか」と。
アイデアと技術次第で、マイナス要素をプラスに転換することができます。

このパンツの生地も、もともとは紳士服のスーツ用につくられたもので、こういう生地では通常は行わない「生地の段階での水通し」を行い、普段使い(手洗い)ができるようにしました。
ステッチを強調した、ジーパンに近い仕立て方ですが、いくつもの細かなテクニックが盛り込まれています。