山村ドレススタジオ > 紳士服オーダーメイド > 087

前の作品一覧ページに戻る次の作品

「サスティナブル」や「エシカル」や「エコ」など、微妙に意味が異なりますが、服の「環境問題」を考える場合、「入り口(服を作る段階)」「滞在中(服として社会に留まっている段階)」「出口(服としての役割を終えた段階)」と、それぞれの過程によってアプローチが違い、「入り口」は、リサイクル素材を使う、「滞在中」は、長く着られるようにする、「出口」は、リサイクルしやすい構造にすることなどが、考えられます。
最近はよく見かけるようになった「地球にやさしい〇〇」などとうたわれているものは、「入り口」の環境問題にフォーカスしたものが多いように思われ、それには「ビジネスとして成立しやすい」などの理由が考えられますが、今回、「滞在中」と「出口」の環境問題について考えてみました。
このウール素材のシャツは、幅や丈のリフォームが容易な構造で、身頃は、幅は両身頃で10センチ、丈は3センチ、袖は、幅が5センチ、丈は3センチ、程度なら出すことができ、もちろん小さくすることも容易です。
この作り方は、舞台衣装をヒントにしましたが、子供服にも適した方法だと思います。
また、「出口」の環境問題の対策として、将来のリサイクル時の解体しやすさを考え、生地の他に、糸とボタン以外は一才用いずに作りました。
この制作方法は、デザインの制約が多いので、できる服の形や、可能な素材は限られています。 服の「環境問題」について、どのように考えるべきかは、未来に技術によっても違ってくるし、世の中に出回っている「地球にやさしい〇〇」は、売りたいためとしか思えない、ツッコミどころ万歳のものも混ざっていますが、だからと言って、「何も考えなくていい」「何もしなくていい」とはならず、「どこまでやるか」を含め、常に考えていくことは、時代の宿命なのだと思います。